相談対応など知識習得し外国人支援 浜松で『ソーシャルワーク研修』開始

2010.01.31 中日新聞

在住外国人市民の生活支援などのノウハウを現場の担当者が学んでいく「多文化社会のためのソーシャルワーク研修」が30日、浜松市中区砂山町の市多文化共生センターで始まった。県内各地の教育機関やボランティア団体で相談員や通訳を務めている日本人やブラジル人ら計53人が参加。共生サポートの現場で生かせる知識習得に真剣に取り組んだ。

 多種多様な相談に対応するための専門知識習得を目指し、浜松市が昨年に続いて開催。受講対象を浜松市民に限らず広く募ったところ、当初想定していた定員(30人)の倍近い参加が市内外からあった。3月まで、法律関係の知識や医療通訳の実地研修など全5回の研修が予定されている。

 初回は「多文化ソーシャルワークの基礎」と題して日本福祉大学社会福祉学部の石河久美子教授(国際福祉、社会福祉方法論)が講演した。石河教授は、外国人の長期滞在、定住化が進んだために「子どもの非行や国際離婚など、一度だけの相談では解決できない問題が増加した」と現況を指摘。人と家庭や職場などに働きかけ、問題解決に取り組んでいく多文化ソーシャルワーカーの必要性を、あらためて強調した。そのうえで社会保障制度や医療システムなどの専門知識や、コミュニケーションスキル、相談面接技法、人や社会資源をつなぐネットワーキング能力を、備えていくことが必要と説いていた。

 同市南区で県営住宅の外国人住民の相談役をしている釜崎カチア真由実さん(30)は「何も分からないまま、今まで相談役をやってきた。話を聞いて、ソーシャルワーカーの役割の重要性が分かったので、これからも研修に参加して勉強していきたい」と、意欲を見せていた。

 同研修は受講無料で、2回目からの受講開始も可能。問い合わせは浜松国際交流協会=電053(458)2170=へ。