総合特区 県が3件申請

2011年10月04日 朝日新聞asahi.com>大分)

東九州メディカルバレー
 観光客増へ外国船出入国
 九州観光「おもてなしの輪」
 規制緩和や財政・税制・金融上の支援が受けられる国の「総合特区制度」に県が医療機器産業・観光分野で3特区を申請したと3日発表した。県は重要施策として特区を活用し、事業の推進を目指す。
 3特区は9月30日付で内閣官房に申請した「東九州メディカルバレー構想特区」「外国客船の出入国ができる国際観光港特区」「九州観光『おもてなしの輪』創造特区」。メディカル特区は宮崎県との2県共同、通訳案内士の規制を緩和するおもてなし特区は九州7県共同で申請した。
 メディカル特区では、医療機器メーカーに配置を義務づけている「総括製造販売責任者」の資格緩和や承認審査の迅速化、研究費の助成などを図り、地場企業の参入を促す。県産業集積推進室は「特区で構想が進めば、医療分野への貢献のほか、地域活性化にもつながる」と話す。
 メディカル構想は両県が昨年10月、医療機器産業を発展させるため策定した。血液・血管に関する機器を中心に、研究開発、人材育成を進め、医療と機器産業の拠点づくり、アジアとの国際交流に産官学が連携して取り組んでいる。2009年の医療機器生産額は大分県が全国4位の1239億円、宮崎県が22位の137億円。
 観光港特区は、関税法の規制を緩和して別府国際観光港を外国船が出入国できる「開港」に指定できるようにし、観光客を増やす狙い。県は出入国港や検疫港の機能も要望する。
 別府港は現在、貿易がほとんどないため、関税法上、開港になっていない。年に数回外国船が寄港しているが、博多港など別の日本の港に入ってから来る。台風などで開港に入れないと、次が別府港の場合、別府に寄港できなくなる。
 別府港に今年8月に4回寄港した中国人観光客らを乗せた大型観光クルーズ船の直接的な経済効果は1億600万円。県観光・地域振興局の担当者は「特区で港の魅力が増し、船会社にもアピールしやすくなる」と話している。(丹治翔、城真弓)
【総合特区】
 総合特区制度 政府の新成長戦略に基づき、先進的取り組みを行う区域に政策資源を集中させる「総合特別区域法」が6月に成立。「国際戦略総合特区」「地域活性化総合特区」に分かれ、区域限定の規制緩和や国の財政支援などが受けられる。県が申請したのは3件とも地域活性化特区。3年を期限に年間で最大5億円の支援などがある。特区は年内に国が指定する。