群馬大重粒子線医学センター:外国人患者を受け入れ 「アジアにも門戸広く」 /群馬

2012年11月30日 毎日新聞 地方版

群馬大学重粒子線医学センターは29日、外国人患者10+件の受け入れを始めると発表した。10年3月に治療を開始して以来、中国、韓国、台湾、ロシアなどのがん患者から問い合わせが相次いでいたといい、同センターは「重粒子線の治療を受けられるのは、世界で6カ所しかない。アジアの患者にも広く門戸を開きたい」としている。

 同センターによると、重粒子線は放射線の一種。がん病巣をピンポイントで狙い撃ちできるため周囲の正常な細胞を傷つけず、体への負担が少ない最先端の技術だ。現在は、前立腺がんの患者を中心に適用されている。

 世界有数の施設として、同センターは開所以来、外国人患者10+件の受け入れを目指してきた。10年3月の治療開始から今月末までに累計516人の患者を治療して実績を重ね、医療通訳などの受け入れ態勢も整ったため、受け入れ開始を決めた。

 治療を希望する外国人患者に対しては、がん病巣の状態が分かる資料や画像を送ってもらい、検査をして治療できるか判断する。治療の期間は、1~2カ月。日本人なら約300万円で治療できるが、保険適用のない外国人は、滞在費や旅費を含めて約500万円が必要という。同センターによると昨春に外国人向けの「医療滞在ビザ」が導入されてから、全国の医療機関に外国人患者10+件から約1700件の問い合わせがあったが、治療のために来日したのは約1割だった。