「医療通訳」独自雇用を助成 県、来年度にも病院などへ

2015年12月23日  中日新聞

 県内の医療機関で、外国人患者の診察の際に通訳する「医療通訳」が不足している。県国際交流センターが、病院の要請を受けて通訳を派遣しているが、特にフィリピン人向けのタガログ語通訳が不足し、要請に応えられないケースが出ている。県は二〇一六年度にも、通訳を独自に雇用する医療機関への助成を始め、状況改善に努める。
 県国際交流センターは一二年度から、地域の基幹的な病院や、外国人が多い地域の医療機関計十二カ所を対象に、有償ボランティアとして通訳を派遣している。希望日の三日前までに派遣を要請してもらう仕組み。通訳は中国語が十二人、ポルトガル語が十人、タガログ語が五人、登録されている。派遣された通訳には、患者か医療機関が一回につき、交通費などとして三千円を支払う。
 通訳の需要は高まっており、一五年度(四~九月)のセンターの派遣件数は一カ月当たり三一・九件で、一二年度の約八倍になった。特にフィリピン人患者向けの要請が増加。一四年度はタガログ語の通訳の派遣依頼が五十七件あったが、人員が確保できず、十件は派遣できなかった。
 この制度は事前予約が必要で、急患に対応できない課題もあるため、通訳を独自に雇用する病院に対する人件費助成制度を始めることに。給料の半額程度を、県が負担する。
 県の事前の聞き取りに対し、公立と民間の複数の病院が通訳雇用に前向きだったといい、十~二十人を新たに確保できる見通し。
 ただ、有償ボランティアを派遣している医療機関十二カ所には、通訳を独自に雇えない病院もあるため、今後も派遣は続ける。