オリンピック病院始動…外国人受け入れ拡大、タブレット問診や多言語通訳も

2016年1月13日 読売新聞
2020年東京五輪パラリンピックの際に、選手や大会関係者の受け入れ先となるオリンピック病院で、外国人患者向けの医療サービスが加速している。東京都は先月からタブレット端末を使った問診システムを試行。スタッフの語学研修や院内表示の多言語化も進めており、都は「五輪までに万全の体制を整えたい」としている。
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■患部の絵指さす
 「What is wrong with you?(どうしましたか)」
 「How long have you had problems?(いつ頃からですか)」
 都立広尾病院(渋谷区)が試行したタブレット端末による「外国人向け問診システム」。画面に英語の質問が表示され、患者は回答を指でタッチして選ぶ。痛い所や具合が悪い場所は、表示された人体の絵に触れて指し示す。10回程度のやり取り後、端末をプリンターにかざすと、日本語訳付きの問診票が印刷される仕組みだ。
 同病院は、外国人患者の割合が都立8病院の中で最も高く、一昨年1~2月の調査では約3%を占め、年間にすると推計約1400人が来院する。従来は、患者に問診票を手書きしてもらい、語学力のある医師や看護師らが対応してきたが、字が読み取りにくく、正確に症状が把握できないこともあった。
 同病院の山本康仁医師は「新システムで、素早く、確実に患者と意思疎通ができるようにしたい」と語る。将来的には、中国語や韓国語など他言語の対応も検討する。
■語学リーダー
 「オリンピック病院」のうち、都立の広尾、墨東(墨田区)、多摩総合医療センター(府中市)の3病院では昨年度から、看護師らを対象にした「語学リーダー養成コース」も開始。年80時間、医療用の英会話を学ばせている。
 病院内は英語や中国語など多言語表示も進める予定で、都病院経営本部は「万全な医療体制もおもてなしの一つ。外国人旅行者も増加しているので、早急に体制を整えたい」と説明する。