浜松で外国人無料検診会 2年ぶりきょう再開

浜松市のボランティア団体が主催する「外国人無料検診会」が4日、2年ぶりに再開され、同市南区増楽町の可美公園総合センターで行われる。失職して収入を失うなど、不況の影響で適切な医療を受けられない外国人を支援しようと、医師や通訳ら約200人が無償で検診にあたる。

 主催は医師、学生ら約30人で作る「浜松外国人医療援助会」(同市中区佐鳴台)。内科、小児科、婦人科の診察や血液、レントゲン検査などを受けられる。検診結果郵送料に200円が必要だが、検診自体は無料だ。

 検診は同会が1996年から毎年10月に実施し、毎回数百人が受診してきた。ところが昨年は、検診会場だった社会保険浜松病院(同市中区中島)の運営母体が変わったため、急きょ休止に追い込まれた。

 そのころから景気が急速に悪化し、派遣先の工場などから契約を打ち切られる外国人が急増。同会によると、もともと市在住外国人の多くは健康保険に加入していないうえ、「治療費や薬代を払えない」などの理由で医療機関に行かない人も目立つという。

 そこで同会は今年2月、検査項目を絞った小規模の外国人向け健康相談会を開いたところ、約50人が参加し、好評だった。同会は「外国人が苦しい状況に置かれている今こそ、検診会を絶やしてはならない」と再開を模索。医師や看護師、栄養士、通訳、市民など計約200人の協力を得た。

 市からの補助金のほか、社会福祉法人がレントゲン車2台と婦人科検診車1台を貸し出したり、医療系企業がボランティア用のマスクや検査用品を安価で提供したりする支援も得て、開催にこぎつけた。

 日系ペルー人で同会事務局長の山城ロベルトさん(26)は「これだけ大規模な検診を市民の力で継続しているのは浜松市だけではないか。多くの外国人の健康を守りたい」と話す。

 検診は午前9時からで、定員は350人。浜松市在住か勤務の外国人なら年齢、性別は問わない(当日先着順、事前予約不要)。治療は行わない。

 同会では検診の運営資金の寄付も呼びかけている。振込先は静岡銀行砂山支店、普通預金口座0528366「浜松外国人医療援助会」へ。

(2009年10月4日 読売新聞)