医療観光 タイと日本の病院提携

2011年7月27日 Sankei Biz


質の高い医療を低料金で提供し、観光を兼ねた海外からの患者を呼び込む「医療観光」を推進するタイ。中東や米国などの富裕層をターゲットにする病院が多い中、日本人誘致を目指す「バンコク病院」が、複数の日本の病院と提携し、相互の患者紹介や診療記録などの情報を共有する取り組みに乗り出した。「タイの病院では初の試み」(関係者)という。

 在タイ日本大使館によると、タイに居住する日本人は日系企業の駐在員や長期滞在者など4万7000人を上回る(昨年10月時点)。バンコク病院は同国の主要な私立病院の一つで、日本人専門クリニックを備え、日本語が話せる医師や通訳らが常駐。タイだけでなく周辺国からも1日100人以上の日本人が外来診療に訪れるという。

 提携先は、鹿児島県曽於市の昭南病院など全国の12医療法人の病院。バンコク病院の日本人マーケット部の田中耕太郎マネジャーは「将来的には100、200の病院とネットワークを構築し、医師や看護師らの交流も進め相互の医療技術やサービスの向上にもつなげたい」と意欲をみせる。

 これまでは日本の医療機関との提携がなく、帰国後も引き続き治療を受ける場合「患者は自分で治療経過などを説明しなければならなかった」(田中マネジャー)。提携先の病院と患者の受け入れや診療の引き継ぎを直接進めることで、患者側の負担軽減を目指すという。(バンコク=共同)