医療通訳利用2250件に 滋賀の3病院が昨春導入

2013年02月07日 京都新聞

 公立甲賀病院(甲賀市)など滋賀県内の3病院が、外国人患者のために本年度から県内で初めて配置した医療通訳者の利用件数が、昨年4~12月で計2250件に上った。「予想を上回る利用状況」といい、2013年度は通訳者の増員も図る。

 事業所などに勤務する多くの外国人が地域内に居住している甲賀病院と長浜赤十字病院長浜市)、済生会滋賀県病院(栗東市)が、「滋賀県多言語医療通訳ネットワーク協議会」をつくり実施。研修会を経て、ポルトガル語スペイン語、中国語を母国語とする計7人を採用した。複数の病院が共同で通訳者を養成、配置した例は全国初という。

 3病院では、2~3人の通訳者が毎週3~5日間、日中に対応する。診察に同席して医師と患者のやりとりを訳し、それぞれに伝える。総利用件数のうち、ポルトガル語での対応が1760件で約78%を占める。スペイン語が390件、中国語は100件。甲賀病院での利用が最も多く、1030件に達した。

 協議会の会長を務める井田健・甲賀病院顧問は「通訳者の導入後は、重症者に入院してもらったり、糖尿病対策での栄養指導といった医学的理解が進むようになった」と手応えを語る。

 13年度は県内の他病院への普及も想定し、甲賀、長浜赤十字の2病院はタブレット端末で双方を結び、通訳者が別の病院にいる医師と患者を支援する取り組みも始める予定。井田さんは「通訳者はまだ不足している。全国規模の資格制度もつくりたい」と話す。

 通訳者を増やすため、ポルトガル語スペイン語の研修会を今月16~24日の計3回、甲賀病院で午後1時から開く。資料代2千円。申し込みは13日まで。問い合わせは甲賀病院総務課人事給与係TEL0748(62)0234。