「国際医療ネットワーク」形成…阪大病院に窓口

2013年2月10日 読売新聞


大阪大病院(大阪府吹田市)は今春、重い病気の治療や高度な手術など、自国で受けられない先端医療を求めて来日する外国人患者の窓口となる「国際医療センター(仮称)」を設置する。医師と患者の間をつなぐコーディネーターを配置。医療通訳や食事などは府内の病院と連携し、大阪の“国際医療ネットワーク”を形成したいという。

 新たに配置するコーディネーターは、患者の母国の病院との事前調整や、保険などに関する手続きや説明、治療後にトラブルがあった場合の対応などを担当する。

 医療通訳は、英語、中国語、ポルトガル語スペイン語の通訳を擁し、外国人向けに「国際診療科」を持つりんくう総合医療センター(同府泉佐野市)からの派遣を検討。食事については、豚肉など食品や加工法に制限があるイスラム教徒向けの「ハラール」や、菜食主義者に対応している淀川キリスト教病院大阪市)が支援する。

 阪大病院は2010年、重い心臓病のサウジアラビア人患者に、足の筋肉から細胞シートを作って心臓に張り付け、機能を回復させる再生医療を行った。韓国のプロ野球選手が米大リーグ移籍を前に、整形外科手術のため来院するケースなどもある。

 サウジアラビア人患者のケースは臨床研究で、患者の費用負担はなかった。通常の診療では、日本の健康保険に加入していない外国人は医療費の全額が自己負担となるが、それでも「欧米より格段に安い」と喜んで帰るという。今後、海外からの外国人患者が増えると予想されることから、同病院は作業部会を設けて体制を検討してきた。

 阪大病院の再生医療など、世界をリードする分野を軸に、言語や食事など文化面にも配慮したネットワークで、海外富裕層の呼び込みを図る。作業部会長の澤芳樹・大学院医学系研究科教授は「大阪の医療の国際評価を高めたい」としている。