医療通訳する子供の体験談、冊子に 神戸の医療通訳研究会

2013/6/24 日本経済新聞

 医者の診察を受ける際、日本語がうまく話せない親のために通訳をした在日外国人の子供たちの経験をまとめた冊子「通訳を担うこどもたち」を、医療通訳研究会(神戸市)が作った。

 11歳でベトナムから来日した女性は、高校生の時に父親を病気で失った。直前に病状を家族に説明した際、「自分が死に神になったような気持ちだった」とつらい経験を振り返った。

 ほかにも、父親のがんの告知を通訳した子供がショックを受けた事例などを紹介。昨年12月に研究会が開いたシンポジウムの内容を収録した。

 医療通訳をした子供の中には「親の役に立っている」という経験からプロの通訳を目指す人も出ているが、同研究会の村松紀子代表は「子どもにとって精神的な負担が大きく、専門用語が多いので誤訳の恐れもある」と指摘する。

 医療通訳は十分な報酬を得られる制度が未整備のため人材が育たず、各地の市民団体がボランティアで請け負っているのが現状という。