外国人が利用しやすい医療環境どう整備

2015年10月9日 NHK
最近、外国人観光客が急増していることを受けて、5年後の東京オリンピックを見据え、外国人でも利用しやすい医療環境をどう整備していくかを考える国際会議が東京で開かれました。
日本政府観光局によりますと、去年、日本を訪れた外国人観光客の数は、過去最多の1341万3000人余りで、ことしは、さらにその数を上回る見通しです。9日、東京・千代田区で開かれた会議には医療通訳者や医師などが参加し、医療現場の実情が報告されました。
このうち、岐阜県高山市の高山赤十字病院の医師は、オリンピックの開催決定などで、去年1年間に市の人口の5倍を超す外国人観光客が訪れ、けがや急病などで27か国200人を受け入れたと報告し、ことばが通じず混乱したことから、現在行政と協力し外国人患者を受け入れる体制作りを進めていると説明しました。また、アメリカの研究者は、日本の医療機関を利用したおよそ500人の外国人にアンケートを行ったところ、57%がことばや文化的な壁で「治療が遅れた」と答え、60%が「医療機関の中に通訳者や英語を話す医師が必要だ」と答えたことなどを報告しました。
主催したNPO、「国際医療通訳者協会」日本支部の竹迫和美代表は、「これまで外国人があまり来なかった地域の病院や薬局にも外国人患者が来ている。医療現場のことばの問題を真剣に考える必要がある」と話していました。