ベトナム語医療通訳:足りぬ 県のボランティア養成講座、応募は2人 需要急増に間に合わない恐れ

2015年10月3日 毎日新聞 群馬
国籍の住民が入院したり手術を受けたりする際に県が派遣している医療通訳サービスのため、県がボランティア養成講座の参加者を募集したところ、ベトナム語の応募者が2人だけだったことが2日、分かった。住民数が急増し、需要が高まると予想されているだけに、県の担当者は「先手を打っておこうと募集したが、思うように集まらなかった」と困惑している。
 県人権男女・多文化共生課によると、外国籍の住民が安心して治療を受けられるようにボランティア通訳を養成・派遣する制度は2006年度にスタート。日本人医師による専門的な説明を外国語に通訳する。昨年度の派遣数は計86件で、(1)スペイン語36件(2)ポルトガル語16件(3)中国語15件の順に多く、ベトナム語は6件だった。
 県内に住むベトナム人は昨年末現在で2946人と1年間で20%も増え、国籍別で5位に浮上した。技能実習生や留学生が増加したことが主な要因という。ボランティアに登録済みの人は、(1)中国語40人(2)英語31人(3)スペイン語28人(4)ポルトガル語20人の順に多く、ベトナム語は4人。しかし、現在は帰国していたり妊娠中だったりで、すぐに対応できるのは2人しかいない。
 このため9月にボランティア養成講座の参加者を募集し、日本語学校を回ったり、全市町村にチラシを配布したりしたが、ベトナム語の応募者は2人にとどまった。県は「ベトナム語に堪能な日本人が元々少なく、日本語能力の高いベトナム人も少ないことが原因と思われる」と分析している。
 応募者は10月8、13、16日の3日間、医療通訳ボランティア養成講座で基礎知識や実践技術を学び、最終日にレベルチェックを受ける。ベトナム語の応募者が2人とも合格するとは限らないため、通訳サービスの体制を強化できない恐れもある。担当者は「今後は市町村を通じて個別に探すしかないかもしれない」と話している。
 県はベトナム語に限って、現在も受講者を募集している。問い合わせは県人権男女・多文化共生課(027・226・3396)へ。