医療通訳の派遣制度 全国で11県のみ

2015年11月11日 NHK

医療現場で日本語が分からない外国人の患者をサポートする通訳者、いわゆる医療通訳を派遣する制度がある都道府県は、全国で11にとどまり、サポート態勢が十分ではないことが、NHKのアンケート調査で分かりました。
医療通訳は、日本語が分からない外国人が病気やけがで医療機関にかかった際、医療関係者と本人の間で通訳を担当します。
国は、外国人の観光客が増えていることに加え、2020年に東京オリンピックが開催されることも踏まえ、今年度、全国の病院などで医療通訳の現状を検証することにしています。
こうしたなか、NHKでは、全国の都道府県に医療通訳を派遣するなどの制度があるかどうかアンケート調査を行いました。
その結果、制度があるのは、外国人が多く勤める企業の工場がある群馬県や愛知県など、11の県にとどまっていました。さらに、これらの県でも、事前に予約が必要で緊急時に対応できなかったり、通訳に対する報酬が安いなど、サポート態勢が十分ではない現状が明らかになりました。
また、医療通訳には専門的な知識が必要であることなどから、国に統一的な制度や資格を整えるよう求める意見が多く寄せられました。
医療通訳の現状に詳しい愛知県の藤田保健衛生大学大学院の瀧澤清美客員准教授は、「医学の基礎知識が求められるうえ、患者それぞれの生活環境なども配慮しなければならず、国が責任を持って制度を作るべきだ」と話していました。