医療通訳の制度化探る 県庁で第1回研究会

2016年9月8日 神戸新聞
 日本語の不自由な外国人が安心して医療サービスを受けられるための医療通訳の制度化を目指す研究会の第1回が8日、神戸市中央区兵庫県庁であった。同市長田区のNPO法人「多言語センターFACIL(ファシル)」や、医療通訳を受け入れる公立病院などが参加。人材や資金不足、コミュニケーションの難しさなどの問題点を共有した。
 医療通訳は、外国人が治療や診察を受ける医療機関に通訳が同行し、症状を医療従事者に説明したり、医師からの説明を伝えたりする仕組み。
 県内では、FACILが2005年、神戸市内の病院への派遣を始めた。公的支援がほとんどない中、現在は6公立病院と提携する。また国際交流協会が通訳を派遣することもある。
 だが、多くの場合は日本語のできる家族や知人が同行。症状を正確に伝えられなかったするなど医療従事者とのやりとりに苦労することが多いという。
 この日は、県や神戸市の病院職員、三木、三田、篠山の国際交流団体関係者ら計17人が参加。「通訳ができる数人に負担が集まり、広域的な制度設計が必要」との意見も出た。病院側からは、専門用語や個人情報が多い中で、通訳を介した受け答えの難しさを指摘する声もあった。
 県の担当者は「訪日外国人客の増加や東京五輪などを控え、需要は高まる一方。国や市町村と連携したモデルを考えたい」。FACILの吉富志津代理事長は「外国人を受け入れるにはどうするか、という病院の意識改革も必要」と話した。
 研究会は今後、県内各地の事例を調査する。