外国人患者、8割の病院に 入院は6割、厚労省調査

2017年8月2日 日本経済新聞

 2015年度に在日外国人や外国人旅行者を患者として受け入れた医療機関は79.7%に上り、入院患者として扱った医療機関も58.5%に上ることが2日までに、厚生労働省が初めて実施した全国調査で分かった。医療通訳を利用したところは一部にとどまっており、訪日外国人が大幅に増える中、体制整備が課題として浮かび上がった。
 外国人が安心して医療サービスを受けられる体制をつくるため、救急患者を受け付ける病院など3761の医療機関医療通訳サービス業者、自治体などを対象に調査を実施した。
 1710の医療機関が寄せた回答によると、15年度に外国人の外来患者が受診したのは1363カ所、入院患者がいたのも1001カ所に上った。
 受け入れ人数を把握していた医療機関のうち、半数以上は年間20人以下の受け入れだったが、500人超のところも9.8%あった。35.8%で医療費が未収となったことがあったという。
 65.3%の医療機関が、日本語でのコミュニケーションが難しい外国人患者がいたと答えたが、「医療通訳を利用した経験がある」と答えたところは全体の12.7%にとどまった。現実的には、外国人患者に通訳を自ら確保するよう頼むところが多いという。
 医療通訳サービス業者に課題を聞くと、半数以上が「人材確保」を挙げた。また、都道府県や政令市など188自治体のうち、8割以上が受け入れ可能な医療機関数などを把握していなかった。