首都圏の薬局 外国人患者向け 好評です「指さし英会話」

2017年8月31日 毎日新聞

 首都圏の薬局約20店舗が、外国人患者向けに「指さし英会話」で症状を聞いたり処方薬の説明をしたりするサービスを取り入れ、好評を博している。10月の日本薬剤師会の学術大会で取り組みを発表し、全国に広げていきたいという。
     考案したのは、調剤薬局チェーン「フォーラル」が経営する「のぞみ薬局」(東京都江東区)の薬剤師、広瀬明香(はるか)さん(29)。昨年4月に入社すると、毎日のように来店する外国人客とスタッフが十分に意思疎通できない場面が多いことに気付き、シリーズ化されている人気書籍「旅の指さし会話帳」(情報センター出版局)をヒントにオリジナルの会話帳を作った。
     「受付」「服薬指導」など場面別に、流れに沿って文章を並べ、互いに指さしながら会話を進められるよう構成した。息苦しい(shortness of breath)、鼻水(runny nose)、足がつる(leg cramp)といった簡単そうだが出てこない英語もイラスト付きで載せ、症状を的確につかめるようになった。
     評判を聞いた本社は早速、有志で「英語チーム」を発足させ、昨秋から1都3県の全22店舗に会話帳を導入した。種類を増やし、薬袋にも飲み方などが分かる英語の用紙を入れるなど、サービス拡充を進めている。
     2020年東京五輪パラリンピックに向け、国は補助金を出して病院の多言語表示などを進めているが、薬局への財政支援はない。製薬会社などで作る「くすりの適正使用協議会」の14年調査では、外国語対応できるスタッフ不在の調剤薬局は78%に上り、89%の薬剤師が対応に不安を感じていた。
     広瀬さんは「栄養指導の英語版なども作り、自治体も巻き込んで地域全体で外国人患者を支えたい」と語る。フォーラルは、普及のためデータの公開や希望者への提供を検討中という。