おくすり手帳 4カ国語 横浜の市民団体と地元企業が製作 外国人らにアンケ「多文化共生のきっかけに」 /神奈川

2017年8月13日 毎日新聞 地方版

 横浜の市民団体と地元企業による「多言語版おくすり手帳普及プロジェクト」(小池由美代表)が製作を進めてきた4カ国語による「わたしのおくすり手帳」が完成した。今後は外国人が働く企業や国際交流団体、薬局などに働きかけ、一人でも多くの外国人に使ってもらいたいという。
     同プロジェクトは市民団体「共生のまちづくりネットワークよこはま」と大川印刷、ジャパンハウジングの協働事業。大川印刷は医薬品関係の印刷も手がけていることから、学生インターンお薬手帳に関心を持ったことがきっかけで、数年前から多言語のお薬手帳づくりに取り組み始めた。同ネットワークも外国人にとって特に災害時にお薬手帳が重要な役割を果たすと考え、一昨年の秋ごろから同社と協力。やさしい日本語に加え、英語、中国語、ハングルの4カ国語によるお薬手帳の製作を進めてきた。ジャパンハウジングは外国人の住まい探しをサポートしているため、今年度から加わった。
     試作品をつくって横浜市内に住む外国人や日本語教師らに配布し、アンケートを実施して改良を加えた。当初は昨年秋ごろに印刷を始める予定だったが、資金不足で難航した。団体の助成金や個人からの寄付などで30万円ほど集まり、ようやく印刷にこぎつけた。
     「わたしのおくすり手帳」は、手帳の使い方や薬を飲む時間を示す食前、食後、食間などの言葉も4カ国語で書かれている。薬局で出されるシールを張るだけでなく、血液型や既往症、アレルギーの有無、かかりつけの医療機関なども書き込めるようになっている。イラスト入りで、言語ごとに文字の色を変えて色覚障害のある人でも読めるよう工夫されている。
     同プロジェクトの小池由美代表は「災害はいつ起こるか分からない。外国人が安心して暮らすための日ごろの準備に役立ててもらい、多文化共生のきっかけになれば」と話している。1部75円で販売する。問い合わせは同プロジェクト(大川印刷内、045・441・2011)またはメール(okusuri-pj@kyomachi-yokohama.org)で。