医療通訳の養成推進 静岡県、4カ国語で体制整備

2017/10/29 静岡新聞

 静岡県は、日本語に不自由している外国籍の住民が安心して医療機関を受診できるよう、医療通訳体制の整備に乗り出す。県国際交流協会と共同で医療通訳者の養成、登録、医療機関への紹介に取り組み、外国人患者と医療従事者間の意思疎通を支援する。初年度の2017年度はポルトガル語スペイン語、中国語、フィリピン語の4カ国語の通訳者の養成を進め、まずは県内病院への周知を図る。
 養成する医療通訳者は日常的な受診の場面での活動を想定し、有償ボランティアの位置付け。一定レベル以上の語学力を持つ通訳経験者を対象とし、全3回の講座を皆出席した受講者に筆記と実技の評価試験を行った上で医療通訳者として登録する。国際交流協会医療機関から依頼を受けて登録者を紹介する。
 県多文化共生課は「知識と技術、倫理性を備えた信頼される医療通訳を養成したい」と説明。受講者は基礎的な病気の知識をはじめ、医療保険社会福祉制度、医療通訳者の行動規範、逐次通訳技術など広く学ぶ。このほど県庁で開いた初回の講座には、県内在住の外国人を中心に約70人が参加した。
 県内の16年末現在の在留外国人数は約8万人で全国の都道府県の中で8番目に多い。専属の医療通訳者がいる病院や診療所は一部に限られ、外国籍住民に対する受診サポートの要請は以前からあった。これまで国際交流協会が自主的に対応してきたが、17年度、県が新規事業として予算化した。
 本県同様に多くの外国人が在住する群馬県の調査によると、医療通訳は既に30の都道府県・政令市がさまざまな形態で取り入れているという。