愛知県、医療ツーリズムの案内役を育成へ

2017/12/6 日本経済新聞

 愛知県はアジアなどからの訪日客が県内の医療機関を受診する「医療ツーリズム」を推進するため、患者の案内役となる医療コーディネーターの育成に乗り出す。14日に研修会を開き、医療滞在ビザの取得方法や医療通訳の派遣方法などを教える。自前で案内役を育成する余力が不足し、ノウハウが乏しい医療機関を支援する。
 研修会を開くのは初めて。14日は名古屋市内で県内約20の医療機関から30人程度が参加し、専門家から指導を受ける。訪日患者を受け入れる場合、必要な書類を翻訳したり、患者の訴えを的確に訳す専門通訳を手配したりする必要がある。こうしたノウハウを教える。さらに宗教や文化など受け入れる際に配慮するポイントなども説明する。
 コーディネーターは医師の資格は不要で、研修会には看護師や医療機関の事務職、ソーシャルワーカーなどが参加するという。県が2016年に医療機関を対象に実施したアンケートでは外国人患者を受け入れたことがある病院は約1割にすぎず、県全体で外国人患者を受け入れる体制の構築を目指す。
 少子高齢化などで医療機関の経営には逆風が吹いている。一方、県内には先端医療機器を導入する病院が複数あり、県が実施した訪日客への調査でも日本の医療に関心が高いとの結果が出ている。県は住民の医療に影響がない範囲で、健康診断サービスを含む医療ツーリズムを推進する方針。今後は県の先端医療などの魅力を海外にPRすることで、訪日客の需要掘り起こしを図る。
 県では藤田保健衛生大学病院(愛知県豊明市)や医療法人「偕行会」(名古屋市)などが医療ツーリズムの受け入れに力を入れている。それぞれ外国人患者の専用窓口をつくったり、外国人向けの健診サービスを設けたりしている。