医療コミュニケーション

2010年11月01日  愛媛新聞

病院で治療を受けたある女性。後日、受診予定はないのに病院を訪ね「おかげで治りました。ありがとう」と報告したという。そこまで丁寧とはいかなくても、医療者への感謝は言葉にして伝えなければ、と反省する。
 松山市で先日あった講演会の話。講師のNPO法人ささえあい医療人権センターCOML(大阪市)の山口育子事務局長は冒頭の女性のように、良かったことを伝え、ほめる「ポジティブ・フィードバック」の重要性を強調した。
 医療者も患者も人間同士。医療者側に問題がある例も実際多いが、一方で「治してもらって当たり前」「いいも悪いも医師任せ」では、コミュニケーションは成り立たない。やみくもに対立せず、協働できる「賢い患者になりましょう」―そんな内容だった。
 例えば、自分の病状を理解し、長々と話さず簡潔に質問する。薬に不安があれば「怖いからイヤ」ではなく、「使いたいが、知っておくべき副作用は」と前向きに、うまく情報を引き出す。そして、感謝の思いは積極的に伝える。
 考えてみれば、専門性や状況の深刻さはあるが、医療だけが特別のコミュニケーション能力が必要、というわけではない。基本は会社でも家庭でも同じ。互いの歩み寄りと、日常の積み重ねがものを言う。
 今年も残り2カ月。身近で感謝しそびれていることがあれば、訓練代わりに、早いうちに。

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コミュニケーションについて書かれた記事をとりあげてみました。
自分自身が患者になる場面も、いつも学びの場であるなと思います。