日光の観光医療、中国人ら月40人受け入れ

2010年11月16日 読売新聞

日光の観光医療、中国人ら月40人受け入れ
独協医大、月末にも本格始動


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超音波検査、胃内視鏡検査などを行う独協医科大日光医療センターの人間ドック
 栃木県日光市内の温泉ホテルと提携し、外国人旅行者向けの人間ドックを行おうと準備している独協医科大日光医療センターが、11月末にも中国・台湾人を中心に、受け入れを本格的に開始する。

 近く大手旅行会社と契約し、1か月に最大約40人を受け入れる態勢とする。同センターは住民の診療を優先するため、外国人には当面、治療は行わない方針だが、県内の医療関係者からは「地元患者の診療が後回しにされないか」といった懸念の声もある。

 同センターが外国人向けに行う人間ドックは1泊2日。血液検査や胃内視鏡検査など標準的な人間ドックを行う「スタンダードコース」、全身のがんを調べる陽電子放射断層撮影(PET)も加えた「プレミアムコース」など4コースを設け、料金は8万4000~27万3000円に設定した。

 料金は日本人の人間ドックよりそれぞれ1、2万円高いが、中国人看護師による通訳や、中国語で検査結果の書類を作成する必要経費と、旅行会社の仲介手数料の分だという。中元隆明・同センター院長は「外国人から過大な料金を取れば利益主義と批判されかねないので、日本人とほぼ同じ料金にした」と強調する。

 外国人の受け入れは月曜~水曜に限り、人数は1週間で最大9人の予定。受診者に治療が必要と診断された場合は、同センターが連携する上海の同済大学付属同済医院などを紹介する。

 外国人向け人間ドックを始める理由について、中元院長は「日光の観光振興に医療機関も協力すべきと考えた」と話す。これに加え、非都市部での病院経営の厳しさも背景にある。

 同センターは、2005年度に廃止された国立の珪肺
けいはい
労災病院から土地・建物を委譲され開設。観光客が多数訪れる日光に救急医療機関を残すため、県などが独協医大に要請した。しかし地域医療は不採算の場合が多く、同医大は病院を維持していくため、人間ドックと観光を結び付けた事業を開始。10月9日には国際観光医療学会も発足した。

 一方、日本医師会は医療ツーリズムは医療のビジネス化が進む恐れがあるとして、反対の立場だ。県医師会の太田照男会長も「病院が経営維持のために医療ツーリズムに取り組むのはやむを得ないが、懸念もある。MRI(磁気共鳴画像装置)やPETは、検診より一般患者の診断を優先すべきで、倫理観をもって行ってほしい」と話している。同センターには今後、年間400人以上の外国人が人間ドックを受けに訪れる可能性もある。地域医療との両立の可否が注目される。

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ついに始まったみたいですね。
9月以降、勢いが弱まったようにも見えますが
今後の動向に注目です。