日系ブラジル人 帰国者増え商売シフト 日本人向け、道の駅にレストラン

2012年4月10日 東京新聞

ブラジル人向けに商売を営んできた日系ブラジル人の経営者らが、日本人を相手にした商売に乗り出す動きが出ている。二〇〇八年のリーマン・ショック以降、ブラジル人が相次いで帰国したことへの危機感が背景にある。 
 三月三十日にオープンした太田市粕川町の道の駅「おおた」に、ブラジルレストラン「ロデイオ・グリル」がケータリングカーを出店した。
 経営する宮崎・アントニオ・マルコさん(47)=大泉町坂田=はブラジルのパラナ州出身の元歯科医師。不景気のため出稼ぎで〇三年に来日し、〇四年に大泉町のブラジルスーパー「タカラ」内でレストランを始めた。
 当初は宮崎さんと同じように仕事を求めて来日したブラジル人らでにぎわったが、リーマン・ショック後は客が一気に減った。昨年の東日本大震災が追い打ちをかけた。
 「ブラジル人だけを相手に商売していたらだめだ」。危機感を抱いた宮崎さんは、日本人顧客の開拓に力を入れている。ブラジル料理のレトルト食品化を思い付き、今年二月に工場も設立。大手スーパー数店から引き合いが入り始めた。
 道の駅「おおた」では牛、豚、鳥の三種の肉をフランスパンに挟んだ「シュラスコサンド」(五百円)が、日本人向けに照り焼きソースも加わって、開店後の四日間で千食売れ、好調だ。毎日営業している。