外国人の生活支えます サポートセンター発足

2014年7月18日 中日新聞

 日本で暮らす外国人の教育、医療、福祉面を支援する民間団体「東海外国人生活サポートセンター」が発足した。直面する課題に中国帰国者の高齢化、外国人児童らの日本語習得などを挙げる。高齢化問題の支援策の一つとして、十九日に中国語に対応できる名古屋市北区介護施設で体験交流会を開き、異国の地で「安心して老いる」環境づくりを考える。
♦高齢化が進む
 サポートセンターは、二〇一二年度に始まり、病院で外国人患者を助ける県の「あいち医療通訳システム」の通訳者の第一期受講生の外国人と日本人が発起人となって発足。医療だけでなく、外国人の生活全般の支援をしたいという思いで賛同者を募った。今月中にNPO法人の認可を取得する予定だ。
 代表の王栄さん(49)=港区=は、戦前の国の移民政策によって中国・旧満州で生まれ育ち、一九八〇年代に来日した帰国者一世を父に持つ。父が重度の介護状態になったのを機に、介護施設での言葉や生活習慣の問題に直面。高齢化した外国人を助ける必要性を痛感した。残留孤児や残留婦人を含む帰国者一世の平均年齢は既に七十歳を超えている。
♦小学校と連携
 副代表の葛冬梅(かつとうばい)さん(36)=中川区=は、日本人の夫と結婚して中国から来日した。子どもが通う小学校には日本語のできない外国人が多く、児童の保護者も日本語が不自由なため、学校側とうまく意思疎通が行われていない現状を目の当たりにしている。
 センターでは四月から葛さんを中心に小学校とも連携し、中川区の豊成団地の集会所で外国人児童向けの日本語教室を開催。今後は保護者向けのサロンや日本語教室も開きたい考えだ。
 介護施設の体験交流会(参加申し込みは終了)は、中国語ができる職員がいる北区楠三の「デイサービス・ノア」を見学する。高齢化の進行は日本人も在日外国人も同じで、介護施設の通訳者養成も必要とされている。今後は、ブラジル、フィリピン、インドネシアなどの在日外国人を交えたシンポジウムを開くなどして共通の問題として意識づけを図っていく。
 王さんは「私も来日当初、言葉も分からず困ったとき、周囲の人に助けられた。困っている人がいるなら、できる限り助けてあげたい」と話している。活動のサポーター(会員、賛助会員)や寄付も募っている。
 問い合わせは「東海外国人生活サポートセンター」のホームページから。