愛知県、医療観光を推進 4大学など研究会発足へ

2016年5月2日 中日新聞 朝刊

訪米中の大村秀章愛知県知事は三十日(日本時間一日)、海外から日本に患者を呼び込む医療ツーリズム(観光)の推進に、県として乗り出す考えを明らかにした。五月中にも医師会や大学など県内機関と「あいち医療ツーリズム研究会」を発足させ、年内をめどに具体的な推進策をまとめる。
 県によると、都道府県が医療観光の旗振り役となる前例はない。本紙の取材に大村知事は、テキサス州にある世界最大級の医療研究機関「テキサス・メディカル・センター」(TMC)との「連携、交流を検討する」と述べた。TMCは、海外から積極的に患者や医療従事者を受け入れ、医療観光の先進機関として知られる。県とテキサス州は四月下旬に「友好交流と相互協力に関する覚書」を締結した。
 県が発足させる研究会は、医学部のある四大学(名古屋大、名古屋市立大、藤田保健衛生大、愛知医科大)や医師会、歯科医師会、病院協会に加え、海外からの健康診断などを既に受け入れている名古屋共立病院(名古屋市中川区)など民間で構成する。
 需要の把握や医療機関側の余力、多言語への対応、誘客手法、地域医療への影響などを検討し、来日観光客や患者への意識調査も踏まえ、具体的な推進策の提言につなげる方針だ。
 外務省は二〇一一年、治療や人間ドックを受ける外国人が最長半年間、日本に居られる「医療滞在査証(ビザ)」を導入。発給件数は一二年百八十八、一三年二百九十九、一四年六百十一と年々増えている。国籍別では中国が82%(一四年)を占める。日本政策投資銀行によると、日本への医療ツーリズムは現在はわずかだが、二〇年には年四十三万人の潜在需要が見込める。