埼玉県内外国人31%「医療機関受診せず」 「言葉通じない」69%

2016年4月5日 産経ニュース 埼玉 

県内外国人の88.6%が埼玉は住みやすいと感じている一方で、約3分の1に当たる31.6%が病気やけがをした際、医療機関を受診しないことが4日、県が実施した意識調査で分かった。医療機関の便利な点として68.6%が「親切」を挙げたが、不便な点は「言葉が通じない」が69.2%に上った。県国際課は「保健医療部と連携しながら、医療通訳の育成など多言語化の整備を進めたい」としている。
                   
 調査は昨年11月から今年1月にかけて、県内在住、在勤・在学の外国人を対象に電子メールや郵送、電子申請で実施。42カ国の906人から回答を得た。
 同課によると、埼玉が住みやすい理由(複数回答)は「犯罪が少なく安心」41.1%、「相談できる所がある」33.1%、「住まいを見つけやすい」21.4%の順。住みにくい理由は「相談できる所が少ない」40.4%、「仕事を見つけにくい」34.0%、「病院などに行きにくい」22.3%と続いた。
 病気やけがで医療機関に「行く」とした68.4%のうち、72.6%が多言語対応可能な所に行くとした。「行かない」とした31.6%のうち、63.6%が「薬を買う」とし、「言葉が通じるか不安」21.5%、「怖い(料金、治療など)」が13.0%だった。
 医療機関を探す方法(複数回答)は「紹介」が66.1%、「インターネット」32.9%の順で、「行政の広報紙」「県医療機能情報提供システム」はそれぞれ5.7%、4.4%にとどまった。
 公的医療保険への加入は、国民健康保険が73.4%に上り、厚生年金保険は17.5%。「入っていない」が3.8%、「分からない」も5.3%いた。医療通訳は75.9%が依頼したことがなく、このうち18.5%は依頼先が分からないとした。
 回答した外国人からは「様式、看板は対応しているが、日本語以外の話者が少ない」「自国では多くの病院で多言語話者の職員を常駐させていた」「五輪を開催するのに、英語で意思疎通できないなんて考えられない」などの意見があった。