ポルトガル語医療通訳の需要高まる 本年度、県が募集

2016年5月18日 中日新聞
 病院や保健所で、コミュニケーションに悩む外国人との橋渡し役となる「医療通訳」のニーズが高まっている。なかでも、県内には四万八千人のブラジル人が暮らし、ポルトガル語の通訳が足りない。県は今年、ポルトガル語医療通訳として最大二十人の養成を目指す。
 県は二〇一二年四月、医療通訳派遣サービスを始めた。医療関係団体や大学などと「あいち医療通訳システム推進協議会」を設立し、医療通訳を養成。これまでに英語、中国語、ポルトガル語スペイン語、フィリピン語の通訳計二百五十六人が登録した。
 外国人は、文化の違いなどで日本での診療方法に戸惑うケースが多い。精神的な症状やエイズウイルス(HIV)など重大な病気の治療や手術を受ける前などには高度な日本語が求められるが、「理解できない」ために医療機関に行くことを控える人もいるという。
 一五年度の通訳派遣は一四年度比百九十一件増の九百八十二件と大幅に伸びた。ポルトガル語の要請は一番多く、一四年度比六十七件増の四百三件を占めた。
 県は本年度、ポルトガル語の通訳を募集する。専門的な医療知識や通訳技術は問わない。語学能力試験に合格すれば、七日間の研修(受講料は無料)を経て、医療通訳として登録される。派遣された場合、謝礼として、二時間で三千~五千円が支給される。
 県の担当者は「外国人の永住化が進む中、一番多い悩みが医療機関で言葉が通じないこと。ポルトガル語通訳はまだまだ足りないので、ぜひ応募してほしい」と話す。応募の締め切りは二十七日まで。(問)県多文化共生推進室=052(954)6138