外国人向け多言語資料のご紹介

外国人患者が増加している状況は、いつもブログでの記事の紹介で感じるところです。

今回は厚生労働省が公開している外国人向け多言語資料をご紹介します。


資料の特長や、使用上の注意について引用しました。

■ 資料の特長
  • 全文書に日本語を併記しました。
  • 5ヶ国語(英語・中国語・韓国語・ポルトガル語スペイン語)で作成しました。
  • 問診票については、医療従事者が患者の回答内容を速やかに把握できるように、選択肢形式を多くとり入れました。
  • 利用者の用途に合わせた使い方ができるよう、加工・編集可能なWord版(一部Excel版)を掲載しました。
■ 使用上の注意
  • 当説明資料は、実際の使用を強制するものではありません。
  • 医療機関の責任においてご使用ください。
  • 本ページのリンク(URL)については、厚生労働省のホームページ「利用規約(リンクについて)」の内容に準じ、原則フリーです。詳しくは(http://www.mhlw.go.jp/chosakuken/)をご確認ください。
こういった資料は豊富に揃ってきているのですが、結局使う現場次第というところかと思います。資料があるのに、使わないといった話も聞きます。
すぐに使えるようなシステムを組んでおきたいものです。

愛知県、医療ツーリズムの案内役を育成へ

2017/12/6 日本経済新聞

 愛知県はアジアなどからの訪日客が県内の医療機関を受診する「医療ツーリズム」を推進するため、患者の案内役となる医療コーディネーターの育成に乗り出す。14日に研修会を開き、医療滞在ビザの取得方法や医療通訳の派遣方法などを教える。自前で案内役を育成する余力が不足し、ノウハウが乏しい医療機関を支援する。
 研修会を開くのは初めて。14日は名古屋市内で県内約20の医療機関から30人程度が参加し、専門家から指導を受ける。訪日患者を受け入れる場合、必要な書類を翻訳したり、患者の訴えを的確に訳す専門通訳を手配したりする必要がある。こうしたノウハウを教える。さらに宗教や文化など受け入れる際に配慮するポイントなども説明する。
 コーディネーターは医師の資格は不要で、研修会には看護師や医療機関の事務職、ソーシャルワーカーなどが参加するという。県が2016年に医療機関を対象に実施したアンケートでは外国人患者を受け入れたことがある病院は約1割にすぎず、県全体で外国人患者を受け入れる体制の構築を目指す。
 少子高齢化などで医療機関の経営には逆風が吹いている。一方、県内には先端医療機器を導入する病院が複数あり、県が実施した訪日客への調査でも日本の医療に関心が高いとの結果が出ている。県は住民の医療に影響がない範囲で、健康診断サービスを含む医療ツーリズムを推進する方針。今後は県の先端医療などの魅力を海外にPRすることで、訪日客の需要掘り起こしを図る。
 県では藤田保健衛生大学病院(愛知県豊明市)や医療法人「偕行会」(名古屋市)などが医療ツーリズムの受け入れに力を入れている。それぞれ外国人患者の専用窓口をつくったり、外国人向けの健診サービスを設けたりしている。

医療通訳の養成推進 静岡県、4カ国語で体制整備

2017/10/29 静岡新聞

 静岡県は、日本語に不自由している外国籍の住民が安心して医療機関を受診できるよう、医療通訳体制の整備に乗り出す。県国際交流協会と共同で医療通訳者の養成、登録、医療機関への紹介に取り組み、外国人患者と医療従事者間の意思疎通を支援する。初年度の2017年度はポルトガル語スペイン語、中国語、フィリピン語の4カ国語の通訳者の養成を進め、まずは県内病院への周知を図る。
 養成する医療通訳者は日常的な受診の場面での活動を想定し、有償ボランティアの位置付け。一定レベル以上の語学力を持つ通訳経験者を対象とし、全3回の講座を皆出席した受講者に筆記と実技の評価試験を行った上で医療通訳者として登録する。国際交流協会医療機関から依頼を受けて登録者を紹介する。
 県多文化共生課は「知識と技術、倫理性を備えた信頼される医療通訳を養成したい」と説明。受講者は基礎的な病気の知識をはじめ、医療保険社会福祉制度、医療通訳者の行動規範、逐次通訳技術など広く学ぶ。このほど県庁で開いた初回の講座には、県内在住の外国人を中心に約70人が参加した。
 県内の16年末現在の在留外国人数は約8万人で全国の都道府県の中で8番目に多い。専属の医療通訳者がいる病院や診療所は一部に限られ、外国籍住民に対する受診サポートの要請は以前からあった。これまで国際交流協会が自主的に対応してきたが、17年度、県が新規事業として予算化した。
 本県同様に多くの外国人が在住する群馬県の調査によると、医療通訳は既に30の都道府県・政令市がさまざまな形態で取り入れているという。

外国人患者受け入れ 電話で通訳、診療を円滑に 県医師会が試験運用 /石川

2017年10月24日 毎日新聞

 医療現場も国際化の時代--。北陸新幹線の金沢開業で県内への外国人観光客が増加する中、県医師会(金沢市)が外国人患者の受け入れ環境の整備を進めている。医療に詳しい通訳者が対応する専用電話を介して、医師と患者がコミュニケーションをとれるサービス「メディフォン」の試験運用を今月からスタートした。1年かけて患者のニーズや利便性を見極め、本格導入を検討する。
 同サービスは、医療分野の課題解決に取り組むシンクタンク「JIGH」(東京都)が2014年1月に開始した。日本語が話せない外国人患者と接した医師から相談を受けたことがきっかけという。

メディフォンは、医師が外国人患者を診療する際、まずJIGHに電話し、医療に詳しい通訳者を介して患者から症状や病歴を聞き取る仕組みだ。患者も、医師の診断や助言を通訳を通して知ることができる。ほとんどの言語で予約の必要がなく、急なけがや病気の診療にも対応できるため好評で、これまでに全国約1400の医療機関で利用された。
 県内の年間の外国人宿泊者数は、14年は29万3956人だったが、15年3月の北陸新幹線金沢開業を経て16年には52万9473人に急増し、居住者も2年間で15%以上増加した。県医師会は、3年後に控えた東京五輪パラリンピックなどの影響で今後さらに外国人患者が増えると予想し、金沢や小松、七尾など9市町の37医療機関でメディフォンの試験運用を開始。担当者は「患者の情報を正確に聞き取れなければ治療方針も立てられない。サービスの導入で言葉の壁を乗り越え、的確な診療につなげたい」と期待している。
 今月6日には金沢市の浅ノ川総合病院で、ベトナム人患者が同サービスを利用。診療にあたった形成外科の池田和隆医師は「同伴者も日本語がしゃべれない状態だったが、サービスを利用することで患者も自分の意見が言え、コミュニケーションが円滑に進んだ」と話した。
 対応言語はロシア語、タイ語ポルトガル語スペイン語など12言語。午前8時半から翌午前0時まで利用できる(英語、中国語、韓国語は24時間対応)。患者に費用負担は求めない。同医師会のホームページでメディフォンを試験運用している医療機関を確認できる。

医療通訳「善意頼み」限界  「命預かる仕事、支援を」

2017年9月22日 神戸新聞
利用件数が急増している医療通訳は、日本語能力が十分でない在留外国人にとって、日本で生活する上での社会的なインフラとなっている。患者側のメリットだけでなく、病院側もスムーズに診察を進められるなど利点も多く、専門家は「(NPOなどの)善意にばかり頼るのではなく、行政が制度を整える必要がある」と指摘する。
 今月中旬、ベトナム人のファム・トゥ・タオさん(21)は妊婦健診のため、神戸市長田区の同市立医療センター西市民病院を訪れた。一緒に診察室に入ったのは、医療通訳を務めるベトナム人のグェン・ティ・トゥ・トゥイさん(23)。グェンさんは、14の言語を対象に医療通訳のコーディネート業務を担うNPO「多言語センターFACIL(ファシル)」(同区)から派遣された。
 胎児エコー画像の説明、今後の健診スケジュール…。日本語を少しは理解できるファムさんだが「子どものことなので、分からないことがあると心配。一人で来るより心強い」。グェンさんは通訳の予約が入ると、受診科の専門用語を勉強して準備する。「勉強したことを人のために役立てたい」との思いからだ。
 病院側にも利点が多い。ファムさんを診察した森島秀司医師は「細かいニュアンスまで伝わり助かる」と語る。同病院を運営する地方独立行政法人「神戸市民病院機構」(同市中央区)によると、診察がスムーズになり、ほかの患者の待ち時間が短縮されたという。
 有償ボランティアである通訳者への謝礼5千円のうち、患者が1500円、病院が3500円を負担する。利用が増えるほど、病院側の負担が増加する。対応可能な病院が限られ、同機構経営企画室の六田晋介さんは「今後を考えると、行政からの支援をいただきたいというのが率直なところだ」と明かす。
 今月5日に兵庫県が開いた多文化共生社会についての会議で、ファシルの李裕美さん(37)は井戸敏三知事に「団体自体の存続が危ぶまれる。コーディネーターの人件費の半額だけでも捻出してもらえないか」と訴えた。井戸知事は「検討させてください。どういう(支援の)形があるか考える」と前向きな姿勢を示し、2018年度の当初予算案に盛り込む方針だ。
 医療通訳に詳しい神戸市外国語大の長沼美香子教授(通訳学)は「いつまでもボランティアを基礎にしたままでは無理が生じる。命を預かる仕事として認識してもらう必要がある」と指摘している。

厚生労働省は医療機関の外国人患者受入れ体制整備を支援

2017年9月28日 アセアンポータル

日本の厚生労働省は、訪日外国人観光客等が日本に医療機関を受診するケースが増加している事に対応するため、この受け入れ体制を整備する活動の一環として「医療通訳養成支援間接補助事業」を実施する。
日本政府では、2020年に開催される東京オリンピックパラリンピック開催に向けて、外国人観光客の積極的な誘致を進めている。その結果、日本に訪問する外国人観光客は増加しているが、それに伴い日本の医療機関を受診するケースも増加してきている。外国人観光客は日本語が話せない場合が多く、医療機関側も英語等の他国言語が話せる人材を抱えていない場合もあるため、適切な医療を提供出来ないケースも発生していた。そのため厚生労働省は、医療機関側の受け入れ体制を整備する活動を支援しており、この支援活動の一環として「医療通訳養成支援間接補助事業」が実施される事となった。
この事業「医療通訳養成支援間接補助事業」は、一般財団法人の日本医療教育財団が実施する。具体的には、医療通訳者としての知識や技能や倫理性を培う研修・講座等を行い、医療通訳者の養成促進を図っていくものである。

首都圏の薬局 外国人患者向け 好評です「指さし英会話」

2017年8月31日 毎日新聞

 首都圏の薬局約20店舗が、外国人患者向けに「指さし英会話」で症状を聞いたり処方薬の説明をしたりするサービスを取り入れ、好評を博している。10月の日本薬剤師会の学術大会で取り組みを発表し、全国に広げていきたいという。
     考案したのは、調剤薬局チェーン「フォーラル」が経営する「のぞみ薬局」(東京都江東区)の薬剤師、広瀬明香(はるか)さん(29)。昨年4月に入社すると、毎日のように来店する外国人客とスタッフが十分に意思疎通できない場面が多いことに気付き、シリーズ化されている人気書籍「旅の指さし会話帳」(情報センター出版局)をヒントにオリジナルの会話帳を作った。
     「受付」「服薬指導」など場面別に、流れに沿って文章を並べ、互いに指さしながら会話を進められるよう構成した。息苦しい(shortness of breath)、鼻水(runny nose)、足がつる(leg cramp)といった簡単そうだが出てこない英語もイラスト付きで載せ、症状を的確につかめるようになった。
     評判を聞いた本社は早速、有志で「英語チーム」を発足させ、昨秋から1都3県の全22店舗に会話帳を導入した。種類を増やし、薬袋にも飲み方などが分かる英語の用紙を入れるなど、サービス拡充を進めている。
     2020年東京五輪パラリンピックに向け、国は補助金を出して病院の多言語表示などを進めているが、薬局への財政支援はない。製薬会社などで作る「くすりの適正使用協議会」の14年調査では、外国語対応できるスタッフ不在の調剤薬局は78%に上り、89%の薬剤師が対応に不安を感じていた。
     広瀬さんは「栄養指導の英語版なども作り、自治体も巻き込んで地域全体で外国人患者を支えたい」と語る。フォーラルは、普及のためデータの公開や希望者への提供を検討中という。